本作は、亘理町の背後に連なる阿武隈山系を、土地にまつわるテキストを用いて立体化する試みである。Texture(質感)、Textile(織物)、Technology(技術)、Tectonic(地殻変動の)、Text(文字) ─これらはすべてギリシャ語の同じ語源から派生している。人の手によって作られる物理的な形も、自然が生み出す地殻変動の造形も、そして人が概念として紡ぐ文字も、根源の部分で同じ生成という行為に支えられている。「人が作ったか、自然が作ったか」という区別を超えて、ただ “そこに作られている” という意味のかたまりに集約されていることからは、生成することへの畏怖が内包されているように感じる。
亘理町の気候や風土、文化を育む基盤としての阿武隈山系を、土地の成り立ちや人の暮らしへの影響を記したテキストによって、文字通り地表をなぞるように3Dプリンターで立体化した。視覚だけでなく触覚を通しても知覚することで、土地を解ろうとする行為を身体的な体感へと拡げる。
見ること、触れること、作ること。ものづくりを通して土地を読み込むことで、自身の中にまた新しい解釈が生まれてくる。この反復にはゴールもなければ際限もなく、延々と世界が織り込まれていく。