pastime life
pastime [pæˌstaɪm] n. 気晴らし、娯楽、遊戯 | life [lάɪf] n. 生命、生き物、生涯、寿命
pastime [pæˌstaɪm] n. 気晴らし、娯楽、遊戯 | life [lάɪf] n. 生命、生き物、生涯、寿命
亘理町で暮らしているとたくさんの生物に出会う。地名となっている「鳥の海」が示すとおり、海や川に行くとウミネコ、シロサギ、トンビ、さらにキジなど多くの鳥がみられ、夏には田んぼからカエルの合唱が聴こえ、ザリガニが道路を横切る姿を不意に目にすることもある。一方、大きな通りにはドラッグストアやカーディーラー、コンビニチェーンに大型工場など、人工的な建物が立ち並んでいる。生き生きとした動植物と無機質な構造物が不思議なバランスで溶け合う風景は亘理町らしさなのかもしれない。
そんな亘理町で新たな日課をはじめた。何も考えずに気分転換をするために、空き時間を見つけて折り紙を折っている。子供の頃、神戸の都市部に住んでいた割には、近所の空き地で虫を採ったり、外で走り回ったり、どんぐりを拾ったりして遊ぶことも多かった。暗くなって家に帰ると外で見つけた虫や動物、図鑑で見た恐竜などを、手近にあるスーパーのチラシで折り紙に勤しんでいた。そのせいか今でも不要な紙があると、つい目的もなく手遊びで折り紙をしてしまう。飲み屋にいくとつい箸袋で遊んでしまう人を見かけるが、私もまた取り留めもなく手先を動かしていると落ち着く性分のようだ。気晴らしをするためだけの折り紙活動だ。
頭を空っぽにしてただ折り進めていくと、いつのまにかその全体像が生物のように見えてくる。そこからは立ち現れた生物のイメージに似せていくように作り上げていく。気ままに折っているだけなのに、なぜか自然と動物を作ってしまい、日々色とりどりの生命が増えていく。1枚の平面から無目的に立ち上がる生物たちを見ると、生命活動が無目的であるように感じる。それならばわたしたちの人生そのものも、気晴らしの時間と考えても良いのかもしれない。
2025年1月 魚住英司